専門情報|医学部図書館で不妊治療本を借りました

医学部の図書館で、不妊治療の専門書を借りて読みました。

まだブログを見てくださっている方。「こんなデータがあるんだ!」と思ったので、よかったら覗いていってください。

余裕がなくて羅列状態です;過去のブログにも反映したいんだけど…時間があるかな…(´;ω;`)

注)専門書は2002年および2004年発行の物です。情報がかなり古い可能性があります。間違って記載していたらすみません!

例えば、約10年前は「培養3日の時点で3つ胚を移植する」ことも普通にされていたようです。(培養4日目以降、必要な培養液組成や培養条件が大きく変わるのですが、それに対応できる技術が未熟だったせいじゃないかな?と思います)

*多胎妊娠防止のための移植胚数ガイドラインは、2007年に見直されています

人工授精と体外受精の妊娠率

排卵誘発剤+人工授精を半年行うのと、体外受精を1回行うのとでは、妊娠率はほぼ同じ。

マイナス思考の心理状態は、不妊原因にはならない

月経が整順・夫婦生活に問題がなければ、心理的な問題が不妊原因になることはない。不妊が色々な心理的問題を引き起こしている。

良好な胚ができる採卵数の目安

  • 6個以上 良好な胚が移植できる可能性あり
  • 3個以下 妊娠率は低くなる

~胚盤胞移植の目安~
35歳未満の患者か、35歳以上でも4つ以上の前核期胚が認められた場合には、移植可能な胚盤胞が得られる可能性が高い。3日目に3個以上の8細胞期胚が認められた場合は、胚盤胞移植を試みる施設もある。

胚盤胞移植の妊娠率が高い理由

胚盤胞移植の場合、着床率が高い

子宮内膜の収縮は排卵日に顕著、その後2~3日継続し、それが胚移植に悪影響を与えると考えられる。
排卵後4日目には、子宮内膜の律動的収縮はあまりみられなくなり、胚移植が子宮外へ排出られるリスクが低下するのではないか。
胚盤胞移植で着床率がよい原因として、子宮収縮などを含む子宮環境の改善も理由の一つとして考えられる。

胚盤胞移植ができる割合

  • 3日培養で胚移植に至らない患者 2.9%
  • 5日培養で胚移植に至らない患者 6.7%

培養期間が伸びるほど、胚移植ができなくなる可能性も高くなるため、注意が必要!

胚盤胞移植ができる目安

  • 受精卵の50%が、胚盤胞に至る。若い女性だと、67%。
  • 3日培養で8細胞期に達している胚は、70%以上が胚盤胞に。6細胞期胚では約50%が胚盤胞になる。特に、卵胞が10個以上成熟した場合、胚盤胞移植の妊娠率は高くなると言われている。
  • ICSIを用いた場合は、胚盤胞に至る確率がやや低下するようえあるが、着床率は変わらない。
  • 胚の形態だけでは、必ずしも良好な胚と判断するのは不十分。胚が順調に分割し、胚盤胞に至ったものは良好胚が多い。
    ⇒ 3日目を過ぎると、胚独自の生命力が関わる。染色体異常のある胚は、胚盤胞になる率が低いとも言われる。
    ⇒ ただ、すべての胚が胚盤胞になるとも限らないため、ある程度の良好胚が3日目で認めれることが必要である。

すべてのIVFをICSIにすることは妥当ではない

ICSIを行う目安

  • 【対象】精子の状態が極めて悪い(例:100万個/ml以下)、精子の状態が良くても受精しない場合、精巣精子を用いる場合
  • 【胚発達】70%前後が多い
  • 【成績】妊娠率、流産率は一般の体外受精と同じか、やや劣る。先天性奇形の頻度は変わらない。

男性不妊の原因

  • 精巣での造精機能障害。造精障害がどうして発生したのか原因不明な「突発性造精機能障害」63.2%
  • 先天性のもの:染色体異常のKlomefelter症候群 1.7%
  • 後天的なもの:精索静脈瘤 25.1%

(1978~2002年、6753例に対してのデータ)

男性不妊でない場合、ICSIは有効と言い切れない

  • 非男性不妊患者にICSIとIVFを施行した場合、それぞれの受精率は61%、67%という報告あり。原因不明不妊の場合、それぞれ60.4%、54%となる。
    ⇒非男性不妊あるいは原因不明不妊に対して、ICSIを用いることによって、受精率が顕著に上がる結論は得られていない
  • ICSIにより受精が成立した場合、胚盤胞の形成率が低下するという指摘がある。不良な精子が使用される頻度が上昇するため、胚発育に悪影響を及ぼしている可能性あり。
  • 受精率が40%未満の場合には、新鮮胚移植で20%の生児獲得率が期待される。凍結胚移植による妊娠率の向上は望めない。⇒このような症例にICSIを志向することにより、余剰胚凍結保存の可能性が上がり、生産分娩率の向上をはかることが期待される。
  • 受精率50%なら、ICSIとIVFの間の生児獲得率に差は認められない。
  • 新鮮胚移植と凍結胚移植で、妊娠、出産、分娩をしたお子さんの発育状態を調べてもまったく有意差はない。また、先天奇形の頻度にも差はない。

不妊と遺伝

  • 良好初期胚のおそよ50~60%に染色体異常あり
  • 精子の10%、卵子のおよそ20%に染色体異常あり
  • 自然流産の起こる妊娠初期胎児の10%に染色体異常あり
  • 体外受精で受精せず、顕微授精を受ける男女それぞれの5~10%に染色体異常あり
  • 乏精子症(10~20*10^6/ml)およそ2%、10*10^6/ml以下の7%、無精子症患者の14%に染色体異常あり。中には児に影響を及ぼすものもあり
  • 自然妊娠に比べて顕微授精を行うと、ある染色体異常の確率は4.6倍と高頻度になる
  • 受精卵段階で認められたほどんどの染色体異常が、自然流産などにより順次失われることになる。

卵巣反応がよくない場合の対処法

卵巣反応不良例:hCG投与日、成熟卵細胞が3つ以下。血中エストラジオールが500pg/ml以下

  1. ゴナドトロピンを増量 150単位程度の低用量のゴナドトロピンで反応する患者にその倍量を投与した場合、確かにある程度の採卵数の増加をはかることができる。しかし、有効な患者は限られている(成熟する可能性のある卵胞の数が減少している例が多いため)
  2. ショートプロトコル法 低用量のGnRHアゴニストを用い、フレアーアップコントロールを行う。基礎レベルのFSHが正常域にありながら、低反応であるような患者には良好な結果が得られる。
  3. アンタゴニスト法 ゴナドトロピンによる卵巣刺激の期間の大部分で、内因性のゴナドトロピンの分泌が抑制されない&クロミフェンなど経口の卵胞発育促進剤が使用できるメリットあり。

妊娠率の低さは、着床率が悪いことが主要な原因

  1. 加齢
  2. 染色体異常や子宮内膜の感受性の低下
  3. 胚の培養環境
  4. 卵管留水腫(卵管に水分が貯留する病気)
  5. 透明体の異常(ハッチングの障害)

対応法

  1. 染色体異常の着床前診断 染色体異常率:34歳以下4%、35~39歳9.4%、40~47歳37.2%。日本では、重大な遺伝子疾患にのみ適応。周期辺り23%の妊娠率。ただし、妊娠率が低く、誤診の可能性もあり。
  2. アシストハッチング 39歳以上の患者に有意に上昇(比較的高齢、FSHが15mlU/ml場合)。FSH使用量が高く、反復して着床障害をみるような患者、あるいは透明体が異常に熱いような場合に有効。初回のIVF患者には有効ではない。以前、着床障害と診断された患者には、妊娠率、着床率を向上させ、妊娠率の改善がみられる。
  3. 胚盤胞移植 培養3日目の良好胚を移植し、3回以上不成功に終わっている患者に胚盤胞移植を施工することによって、着床率と妊娠率が有意に改善がみられる。
  4. 卵管留水腫の切除 手術によって、妊娠率が約2倍に上昇。

体外受精反復不成功例に対する治療法

不成功の原因

  1. 良好な卵子(分割卵)ができない
  2. 着床が上手くできない
  3. 胚移植が円滑にできない

1.着床率をあげる方法例

着床が上手くいくためには、子宮内膜の厚さ(8mm以上)(7mm:18.3%、10mm:43.5%
)が必要。

  • 排卵誘発周期で内膜が薄い時は、全胚凍結し、自然周期移植を試みる 自然周期では80%の症例で厚くなる、そのときの凍結胚移植の妊娠率:56.5%。
  • PCOSの場合 腹腔鏡下電気焼術を実施する。92.9%自然排卵が起こり、凍結胚移植を行って、57.1%の高い妊娠率が得られた。

2.透明体除去例

透明体除去後の胚盤胞移植では、新鮮胚:12.2%、凍結融解胚:58.6%という成績が得られた。新鮮胚では、自然周期の内膜の薄い患者でも、妊娠率が高くなる(排卵誘発周期では効果なし)

3.胚盤胞孵化法

子宮内膜がどの周期でも薄い場合は、凍結融解胚、新鮮胚の採卵5日目、6日目の妊娠率(60.5%, 27.5%)(45.5%, 23.8%)(52.0%, 21.0%)(32.3%, 16.2%)と上昇した。

4.卵管内移植

適応可能な人

  • 少なくとも片方の卵管の疎通性あり
  • 採卵時の子宮内膜厚が8mm以上あり
  • 40歳以上
  • 採卵数が2~4個
  • 過去数回の体外受精で妊娠失敗を繰り返している

ICSI後のGIFTで35.3%、 ICSI後のZIFTで 36.4%の妊娠率を得られた。特に卵胞数の少ないlow responderや卵子の質の低い症例に有効である。

胚移植技術は、妊娠率に影響する

  • 約80%はソフトチューブで移植可能、約20%は円滑に挿入できない。
  • ETチューブに血液が付着すると、妊娠率は極端に低下してしまう⇒速やかにガイドワイヤー付きチューブに変更する必要あり。
  • 胚移植後、安静時間は長時間必要ない。

 

<参考文献>

  • 生殖医療の落とし穴 中山書店 編集:吉村恭典 2004年発行
  • 体外受精ガイダンス 医学書院 編著:荒木重雄、福田貴美子 2002年発行

 

以上、箇条書きですが、参考文献から抜粋させてもらいました。私の興味がある内容に、完全に偏ってます。すみませんm(__)m

これを見て、次回の胚移植のときは、「固めのチューブでないと入りません!」ってはっきり伝えようと思いました。私はきっと、20%の入らない人だ。胚移植技術は、かなり妊娠率に影響するっぽいですよΣ(・ω・ノ)ノ!今回の妊娠できたのは、院長先生が移植してくれたお陰かも。

ちなみに、「体外受精反復不成功例に対する治療法」は、セントマザーの院長先生と永吉先生がまとめられた文章です。

何かの役に立てば幸いです!

 

 

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