脂質異常症と診断された方に絶対に効いた療法とは食事だった

脂質異常症とは、血液中の脂質量に異常が生じる病気です。病気の主な原因は、「偏った食生活」「運動不足」です。脂質異常症は、気づかないうちに動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中といった、命に関わる病気につながります。まずは食生活を改善し、脂質異常症を克服しましょう!

脂質異常症の原因とリスク

缶コーヒー1本に、何gの砂糖が入っているでしょう。答えは、約21gです。

ショートケーキは1切れ糖分約48g(脂肪分は食用油換算で約20g)、ポテトチップスは1袋約49g(油は約30g)、チョコレートは1枚約33g(油は約20g)。脂質異常症の方は、1日糖分20g以下を推奨されているため、完全に超えてしまっています。

これまでの食生活でも、ついついエネルギーを摂りすぎたり、偏った食生活をしたりしていませんか?試しに、下のチェックシートで確認してみましょう!

  • お肉が大好き
  • 甘いものや、お酒が大好き
  • 夜遅くにお腹いっぱい食べる
  • 早食いや、ながら食い、まとめ食いをする
  • 運動不足
  • 血圧が高かったり、肥満だったりする
  • タバコを吸っている
  • ストレスを抱えている

このような生活習慣が原因で、脂質異常症が引き起こされています。まずは、食生活を改め、バランスの良い食事を、1日3食規則正しく、よく噛んで食べるようにしましょう!

(注)遺伝的要素、服用の薬による影響、他の病気での誘発が、病気の原因となる場合もあります

脂質異常症は、様々な病気を引き起こす

脂質異常症のやっかいなところは、自覚症状がないことです。気づかないうちに動脈硬化メタボを併発し、心筋梗塞脳卒中といった、死亡原因ワースト3位の病気につながる可能性があります。

脂質異常症が関連する病気のリスクは、こちらをご覧ください。⇒メタボの予防改善 | なぜ痩せる必要がある?内臓脂肪が問題な理由

タイプ別、脂質異常症の対策

悪玉(LDL)コレステロール値が高い方

欧米型の食生活や運動不足が原因と考えられます。遅い時間にたくさん食べたり、脂肪の多い食事は控えましょう。卵黄・レバー・ベーコンなどは、コレステロールが多い食品です。コレステロールの吸収を抑える「いも、豆類、野菜、きのこ」や、コレステロール値を下げる「青魚・大豆製品」、動脈硬化の原因を抑制する「緑黄色野菜・野菜・植物油・種実類」といった抗酸化物質を積極的に摂りましょう。

中性脂肪値が高い方

糖質やアルコールの摂りすぎによる肥満が原因と考えられます。遅い時間にたくさん食べたり、間食で果物やお菓子を食べすぎないようにしましょう。お酒は、週二回以上の休肝日を設けましょう。中性脂肪値を下げる「青魚・大豆製品」、動脈硬化の原因を抑制する「緑黄色野菜・野菜・植物油・種実類」といった抗酸化物質を積極的に摂りましょう。

悪玉(LDL)コレステロールも中性脂肪も高い方

上記、どちらのポイントも押さえます。

コレステロールが高い方  中性脂肪が高い方 
  適切な摂取エネルギーを守る
 コレステロールの多い食品を控えめに  糖質を控えめに
 食物繊維の摂取を増やす  アルコールを控えめに
  抗酸化物質を摂取する

バランスのいい食事とは

毎食、主食(ごはん・パン・麺)・副菜(野菜・きのこ・いも・海藻)(1~2品)・主菜(肉・魚・卵・大豆)を心掛ける

 

図13

バランスのいい食事(出典:厚生労働省より改変)

食事バランスの詳細は、厚生労働省の食事バランスガイドの使用が便利です。

脂質異常症の方は、脂質や糖質に偏った食生活の方が多い状況です。この食事を基本として、改善方法のコツをご紹介します。

青魚やオリーブオイルが良いからと言って、そればかり摂らない

青魚にはEPAというn-3系多価不飽和脂肪酸が含まれ、中性脂肪値を下げます。また、オリーブオイルにはオレイン酸という一価不飽和脂肪酸が含まれ、コレステロール値を下げます。しかし、そればかり摂ると、食事バランスが崩れて問題になります。

青魚は油が多く、高脂肪・高カロリーです。1日1回に抑え、赤身のヘルシーなお肉や大豆といったタンパク質も摂りましょう。また、オリーブオイルだけを使用すると、他の脂肪酸とのバランスが崩れてしまいます。近年、体に良いというリノール酸の過剰摂取で、善玉(HDL)コレステロールが下がったなどの例もありました。適量を守り、魚や大豆といった別の脂質も摂るなど、偏った使用をしないことが大切です。

外食が多く、食事バランスが摂りづらい

外食だと、カロリーが多く、脂肪分が多くなりがちです。また、洋食や中華料理は脂質が多めに使われています。

コンビニの場合は、適正カロリーか確認し、小さめの物+野菜料理1品追加するのがお勧めです。揚げ物や幕の内弁当は、脂肪が多めになるためお勧めできません。

定食の場合は、刺身、焼魚、鶏肉がお勧めです。副菜を注文できるなら、追加で注文するとよいです。麺類+ごはんセットは避けましょう。

飲み会の場合は、冷奴などの豆腐料理、刺身、酢の物、御浸しなどの野菜料理を、おつまみにするのがお勧めです。小魚のつくだ煮や明太子などは、一見体によさそうですが、脂質が高めです。

仕事上、夕食が夜遅くなる

夕食が遅くなってしまう場合には、夕方に軽食を取り、夜は軽いもので済ませるのが妥当です。そうしなければ、体はエネルギーをため込む方に働いてしまいます。軽食には、乳製品やかんきつ類、じゃがいもや雑穀入りクッキーなどがお勧めです。夜は脂肪分が少ない食事で軽く済ませましょう。

なお、朝に食欲がなくても、少しでも良いので朝食は摂りましょう。体が飢餓状態になり、エネルギーをため込みやすくなります。

野菜飲料や食物繊維サプリメントを摂って安心している

1日分の野菜飲料は、1日分の野菜を用いて飲料を作っているのであって、1日分の野菜を摂取した効果が期待できるわけではありません。消費生活センターの調べによると、特にビタミンCや食物繊維などは、原料野菜の3分の1以下という結果が出ています。ビタミンCや食物繊維を摂ると、コレステロール(胆汁酸)の減少につながります。野菜飲料は補助的に利用しましょう。

また、食物繊維サプリメントは、決まった種類の成分しか取れませんし、摂りすぎると栄養素(ミネラル等)の吸収を妨げる恐れがあります。こちらも、補助的に利用するのがよいでしょう。

療法に大切なのは、まずはバランスの良い食事から

  • バランスの良い食事をする(1日3食、適切エネルギー量を守る)
  • 適度な運動と禁煙

脂質異常症の方に大切なのは、まずはバランスの良い食事を規則正しく食べることです。また、適度な運動と禁煙も大切です。タバコは動脈硬化を促進します。もし食事量を減らすのが難しいなら、ガムを食前食後に噛めば満腹感が得られやすいですし、こんにゃく米というご飯をヘルシーにできる商品もあります。

病気の主な原因は、偏った食生活と運動不足です。自分に合った方法で、まずはいつもの食事から見直してみましょう!

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