雑談3|実験を通じて思ったこと。

完全にフィーリングの話になるのですが。。
生き物相手に実験をしていて、「体外受精と似ているなぁ」と思ったことを書いてみます!
あと、不妊研究について思ったことです。

遺伝子組み換え植物を1つ作るために、いくつもの植物を用意する。

私は遺伝子組み換え植物を作ったことがなくて、友達の実験を見て得た、偏った情報です;

例えば、「害虫に強い植物を作りたい!」と思ったとき、「害虫に強くなる遺伝子」を外から取ってきて、今ある植物に入れることになります。

で、いざ遺伝子を組み換えるとき。1個の植物を育てて、そこにポンと入れる訳じゃありません。スタートには、何十個という植物を用意します。それでも、実際に遺伝子が入る植物は、数割にとどまります。

遺伝子が入ってくれなかった原因は、用意した遺伝子が悪い場合などもありますが、植物にも負荷をかけている訳だし…そんなもんという印象です。植物の培養条件を調整しながら、確率を上げる努力はします。

無事に植物に遺伝子が入っても、そこから「目的の場所に遺伝子が入ってるか」という問題もあるし、「3個くらい植物を確保したい」となると、やっぱりスタートの植物体の数はたくさん必要になります。

体外受精でも、何個も採卵して、受精や培養に耐えたのは数個で、凍結胚になったのはさらに少なかったから。
なんだか、遺伝子組み換え操作と、同じ感覚でした。漠然と、スタートの数と技術は必要なイメージです。。

凍結に、そんなに費用がかかるのか?

液体窒素の相場は、ネットで調べる限り安いはず。容器は高いかもしれないけど。。

生物実験をしていて、液体窒素は必須アイテムです。
例えば、「培養の経過によって、生き物がどう変化するか」を調べるためには、1日培養して液体窒素で凍結、2日培養して液体窒素で凍結、3日培養して…を繰り返して、サンプルが集まってから、まとめて融解して検査します。そうすることで、「この培養時間だと、生き物はこんな状態なんだ!」ということが調べられます。

凍結方法は、液体窒素につければ、一瞬で凍ります。凍結胚の場合、そのまま液体窒素の入った容器で保管するはず。こうすれば、-196℃という低温で、品質を保ったまま保管できます。(今回のブログの画像が、保存容器です)

だから…精子凍結1本2万円は高いんじゃないかな(爆)凍結って、液体窒素につけるだけじゃないの!?(医療現場は違うのか?)
そう思ってたら、友達情報で、「私の行った病院は、精子凍結は1本2千円だった」と言われました。
あと、「胚凍結はサービスでします。お金は取りません」という病院もありました。神だわ!!( ;∀;)

無料は特殊かもしれないけど、胚凍結は技術料がかかるかもしれないけど、、精子凍結くらいは安く済むんじゃないの!?と思ってしまいます。。(愚痴です)

不妊データに協力してくれた人たちの話。

妊娠するまでの平均期間のブログでご紹介した論文の話です。
内容は、「妊娠しやすい日にタイミングを取ると、1年で9割の人が妊娠する」というものです。
タイミング法で、どのくらいの人がどのくらいの時間で妊娠できるかを調べた研究です。

この研究…最長29周期まで調査しているんです。29周期って、2年半ですね。
参加者は、346カップル。そのうちの36カップルが、最後まで妊娠できませんでした。
中には、妊娠できずに失望し、調査に協力しなくなったり、完全に妊娠を諦めてしまった方もいたそうです。

「そりゃそーだろ!!」と思ってしまいました。2年半もタイミング法って…私にはできない(゚д゚)
2003年に発表された論文なので、体外受精も行われている時代です。この時代の医療技術や背景について、私は知らないけど、ずっと調査のためにタイミング法を続けるのは、きっと精神的に辛いと思う…。

この研究に協力してくれた人たちがいて、今の私たちが治療できています。本当に感謝です。。

 

以上、実験を通じて思ったことでした。

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